ポルトガル語国際デー

Dia Mundial da Língua Portuguesa
World Portuguese Language Day

昨年11月に国連が5月5日をポルトガル語国際デーと定めてから、本日初めてその日を迎えるこのになりました。新型コロナウィルス感染症が世界に蔓延する現状は、お祝いムードとかけ離れていますが、ポルトガル語の翻訳者として何か記録を残す使命感に駆られます。

元々はポルトガル語圏諸国共同体(Comunidade dos Países de Língua Portuguesa、CPLP)が定めた記念日で、国連が国際デーとして登録した目的は「ポルトガル語が文明・文化の保全および普及に果たす重要な役割を強調するため」と提言しています。ちなみに、CPLPの加盟国はポルトガル語を公用語とするポルトガル、ブラジル、アンゴラ、カーボヴェルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、モザンビーク、赤道ギニア、東ティモール の9か国で、2014年7月から日本はオブザーバーとして参加しています。

ポルトガル語の話者人口は、日本の人口の2倍以上に相当する約2億6,000万人とされ、人口約2億人のブラジルの話者が一番多く、南半球で最も使われる言語です。各地域のバリエーションが存在しますが、南米と欧州ポルトガル語の規範が標準的で「一言語二規範」の言語とされます。アフリカやアジアのポルトガル語は、ポルトガル規範に準じます。

1990年にブラジルとポルトガルの異なる正書法は「ポルトガル語正書法協定」(Acordo Ortográfico da Língua Portuguesa)にまとめられ、2015年に「新正書法」(Novo Acordo Ortográfico)として移行が終了しました。しかし、ポルトガル語公用語アフリカ諸国(Países Africanos de Língua Oficial Portuguesa、PALOP)は、多くのケースでポルトガル規範の(旧)正書法の使用を好みます。

今後もポルトガル語が南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの架け橋として、多様な文化が共存し、尊重し合う象徴的な言葉であってほしいと思います。

緊急事態・非常事態 Estado de emergência

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がパンデミックとして認定されてから1カ月経ちましたが、緊急事態宣言が全国に拡大された日本の対応が二転三転したり、専門家の提言を否定し続けるブラジル大統領は保健相を解任したり、先行きが見えない状況が続いています。

感染拡大が毎日報道される中、「緊急事態」と「非常事態」の文言が混同していることが気になり、調べてみるとWikipediaでは次の解説がありました。

『現在、日本法における規定の文言が基本的に「緊急事態(きんきゅうじたい)」・「緊急事態宣言(きんきゅうじたいせんげん)」に統一されているのにも関わらず、かつての日本法における規定の文言などからの慣習により、外国・外国語における「英:Emergency」や「英:State of emergency」等の日本語訳として、メディア等にて「非常事態」・「非常事態宣言」が使用されることがあるが、あくまでも翻訳に際しての表記の揺れであり、基本的に「緊急事態」・「緊急事態宣言」と同様の意味である。』

Wikipedia「非常事態宣言」および「緊急事態」より

なるほどと思いつつ「あくまでも翻訳に際しての表記の揺れ」との理由づけに納得できず、そもそもWikipediaの情報でもあったので、裏を取ることに。

まずは日本法令外国語訳データベースシステムの法令検索で「非常事態」と調べると、主に電気・通信の事業法で合計13件のみのヒットでした。一方で、「緊急事態」は災害対策基本法をはじめとする複数の法令で、桁違いの件数がヒットしました。

続けてニュースを調べると、たしかに多くのミディアは「非常事態」と使っていますが、三田市などの市町村が元々発表したとおりになっています。しかし、好んで?「非常事態宣言」と使っている記事も見られ、Wikipediaの解説はまんざら嘘でもなさそうです。

最後に日本語での「非常」と「緊急」の語義を調べてみると、それらの定義や用法をまとめた、まさに探していた内容の論文「非常事態に関わる用語の研究」を見つけました。前者は「重大な危機に直面した様子」、後者は「急を要する段階かつレベル」で使われる用語だと理解しました。また、同論文で英語の「Emergency」の語義と非常や緊急としての用法も解説され、大変参考になりました。

ポルトガル語でも「Emergency」は英語と同じニュアンスで使われるため、緊急事態・非常事態(State of emergency)の訳は「Estado de emergência」一択で問題ありません。逆に「Emergência」を日本語に訳すとなると、非常・緊急・有事でかなり悩むと思います。

また、COVID-19について知識を深めるために、サンパウロ大学医学部(USP-FMRP)やWHOのオンライン講座を受講し、日葡勉強会(NIPPO CONNECTIONS)で感染症の医療用語等をおさらいすることになりました。医療従事者向けでしたが、WHOの講座「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防と管理」は多言語で展開され、英語・日本語・ポルトガル語の3言語で受講できたので、特に勉強になりました。

2月・3月 fevereiro e março

仕事優先で相変わらずブログを後回しにして、気付けば最後の投稿から2カ月経っていました。前回の投稿の時はもしかしたら新型コロナウィルス感染症がパンデミックになる何となくと思いましたが、まさかこのような状況になるとは想像しませんでした。

日葡翻訳勉強会の活動として、1月27日に今年初の勉強会を行いました。その時点ではオリンピック・パラリンピックの延期は予想しておらず、前回に引き続きお台場エリアの施設を見学にしに行きました(詳細はこちら)。2回目の勉強会は3月9日に実施し、感染予防を意識してビデオ会議で「医療分野の用語」について情報交換をしました(詳細はこちら)。

2月にはJVTA日本映像翻訳アカデミーの講演「映像翻訳ビジネスの新・常識 ~ポスト2020を生き抜くフリーランスの備えとは?~」をオンラインで参加しました。フリーランス個人としてだけでなく、日葡勉強会の活動に繋がるヒントもあり、とても参考になる内容でした。

3月は感染症の懸念がありましたが、翻訳・通訳ボランティアとして登録させていただいている川崎市国際交流センター(KIAN)より「外国につながる子どもと家族のための小学校入学前支援プレスクール」の相談があり、小学生になる子を少しでもサポートできればと、1日だけ通訳の対応をしました。休校処置が解かれた際に、無事に新しい学校生活を迎えられよう願うばかりです。

4月はいい加減に確定申告を終わらせて、趣味のカポエイラで何か企画したいと思います。自粛ムードで多くの方が練習する場所を失ったので、オンラインで情報交換・共有できる仕組みを考えてみたいです。

1月 janeiro

年末年始は真夏のブラジルではなく、日本の冬で家族とゆっくり過ごして、しんみり新しい年を迎えました。

仕事もすっかり通常のリズムに戻り、スケジュールの合間を縫ってブログを更新することに。

うれしいことに今月は、ポルトガル語の監修をさせていただいている迫稔雄先生の作品『バトゥーキ』のコミック第6巻が発売され、カバー折り返しで紹介していただきました!

バトゥーキは、ユネスコの無形文化遺産としても登録されているブラジルの民俗芸能「Capoeira( カポエイラ )」を題材にした作品です。

週刊ヤングジャンプに連載中で、詳しくは下記の公式サイトでぜひ!第10話まで試し読みできるリンクもあります!

https://youngjump.jp/manga/batuque/

思い起こせば、カポエイラと翻訳の仕事はサンパウロでの大学時代にほぼ同時に始めたので、時代を超えて点と点が繋がり、とても感慨深い気持ちになりました。

年の瀬|Final de ano

2019-2020

今年も多くの案件のご依頼をいただき、お陰様で仕事もプライベートもとても充実した年でした。

また、仲間と一緒にポルトガル語の翻訳・通訳勉強会『日葡コネクションズ』も立ち上げることができて、来年は積極的に活動して研鑽に励みます。

勉強会の活動内容は下記のブログで公開して行く予定です。

https://www.nippoconnections.jp/

2019年はたくさんの方々のお世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。

また来年もどうぞよろしくお願いいたします!

Muita saúde e sorte a todos em 2020!

アジャイル型 Método ágil

去る8月8日にJTF翻訳セミナー『翻訳トライアルの傾向: いま翻訳者に何が求められているのか』に参加しました。講師は内田順子氏で、ローカライゼーション分野を中心に、翻訳トライアルの傾向、翻訳情勢の現状、ストラテジー、AI時代の競争力と提供価値の見える化などについて学びました。ここでは特に印象に残った内容を書き記します。

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