緊急事態・非常事態 Estado de emergência

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)がパンデミックとして認定されてから1カ月経ちましたが、緊急事態宣言が全国に拡大された日本の対応が二転三転したり、専門家の提言を否定し続けるブラジル大統領は保健相を解任したり、先行きが見えない状況が続いています。

感染拡大が毎日報道される中、「緊急事態」と「非常事態」の文言が混同していることが気になり、調べてみるとWikipediaでは次の解説がありました。

『現在、日本法における規定の文言が基本的に「緊急事態(きんきゅうじたい)」・「緊急事態宣言(きんきゅうじたいせんげん)」に統一されているのにも関わらず、かつての日本法における規定の文言などからの慣習により、外国・外国語における「英:Emergency」や「英:State of emergency」等の日本語訳として、メディア等にて「非常事態」・「非常事態宣言」が使用されることがあるが、あくまでも翻訳に際しての表記の揺れであり、基本的に「緊急事態」・「緊急事態宣言」と同様の意味である。』

Wikipedia「非常事態宣言」および「緊急事態」より

なるほどと思いつつ「あくまでも翻訳に際しての表記の揺れ」との理由づけに納得できず、そもそもWikipediaの情報でもあったので、裏を取ることに。

まずは日本法令外国語訳データベースシステムの法令検索で「非常事態」と調べると、主に電気・通信の事業法で合計13件のみのヒットでした。一方で、「緊急事態」は災害対策基本法をはじめとする複数の法令で、桁違いの件数がヒットしました。

続けてニュースを調べると、たしかに多くのミディアは「非常事態」と使っていますが、三田市などの市町村が元々発表したとおりになっています。しかし、好んで?「非常事態宣言」と使っている記事も見られ、Wikipediaの解説はまんざら嘘でもなさそうです。

最後に日本語での「非常」と「緊急」の語義を調べてみると、それらの定義や用法をまとめた、まさに探していた内容の論文「非常事態に関わる用語の研究」を見つけました。前者は「重大な危機に直面した様子」、後者は「急を要する段階かつレベル」で使われる用語だと理解しました。また、同論文で英語の「Emergency」の語義と非常や緊急としての用法も解説され、大変参考になりました。

ポルトガル語でも「Emergency」は英語と同じニュアンスで使われるため、緊急事態・非常事態(State of emergency)の訳は「Estado de emergência」一択で問題ありません。逆に「Emergência」を日本語に訳すとなると、非常・緊急・有事でかなり悩むと思います。

また、COVID-19について知識を深めるために、サンパウロ大学医学部(USP-FMRP)やWHOのオンライン講座を受講し、日葡勉強会(NIPPO CONNECTIONS)で感染症の医療用語等をおさらいすることになりました。医療従事者向けでしたが、WHOの講座「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防と管理」は多言語で展開され、英語・日本語・ポルトガル語の3言語で受講できたので、特に勉強になりました。

1月 janeiro

年末年始は真夏のブラジルではなく、日本の冬で家族とゆっくり過ごして、しんみり新しい年を迎えました。

仕事もすっかり通常のリズムに戻り、スケジュールの合間を縫ってブログを更新することに。

うれしいことに今月は、ポルトガル語の監修をさせていただいている迫稔雄先生の作品『バトゥーキ』のコミック第6巻が発売され、カバー折り返しで紹介していただきました!

バトゥーキは、ユネスコの無形文化遺産としても登録されているブラジルの民俗芸能「Capoeira( カポエイラ )」を題材にした作品です。

週刊ヤングジャンプに連載中で、詳しくは下記の公式サイトでぜひ!第10話まで試し読みできるリンクもあります!

https://youngjump.jp/manga/batuque/

思い起こせば、カポエイラと翻訳の仕事はサンパウロでの大学時代にほぼ同時に始めたので、時代を超えて点と点が繋がり、とても感慨深い気持ちになりました。